リセット~さまよう出所者たち~

受刑者の半数が再犯者という現実断ち切れない負のスパイラル

刑期を終えて社会に出てもすぐに犯罪に手を染める元受刑者が後を絶たない。
おととし、その割合は45%あまりに達し、平成に入って最も高くなった。背景には刑務所内での更生能力の低さに加え、出所後をフォローアップするシステムがきちんと機能していないことがあげられる。特に満期出所者は受け入れ先がないケースが多く、刑務所を出ても住む場所や職がなく、再び罪を犯す傾向が強い。
2012年、国は「再犯防止に向けた総合対策」を決定。10年間で再犯者の割合を20%以上削減することを目標に掲げて取り組みを進めてきた。しかし、総務省は行政評価局の実態調査(2014年3月25日発表)で、刑務所や保護観察所、ハローワークなどの連携不足や満期出所者への指導不足などが理由でうまく機能していないことを指摘した。

実は社会的弱者が多い犯罪者司法と福祉の間にできた溝…

こうした中、注目されているのが、NPO法人などが運営する「自立準備ホーム」だ。保護観察所の委託を受け、出所後、行き場のない者に対して当分の寝る場所と食事を提供し、自立につなげる。番組では広島市にある「自立準備ホーム」NPO法人「風の家」を3年間にわたり取材した。
出所後に出会った女性と結婚して新生活をスタートさせる者がいる一方で、数ヶ月で再び刑務所に戻る者もいる。ここにやってくるほとんどの出所者に共通して言えるのは身寄りがないこと。さらに、精神障害や知的障害、生育環境などの問題を抱え、何らかの支援を必要としている社会的弱者がほとんどだ。そのため、福祉の支援を受けることなく罪を犯し、刑務所に入る者も多い。

一筋縄ではいかない出所者支援彼らと向き合うNPOを3年間記録

番組は「風の家」に出入りする出所者の社会復帰に向けた動きやスタッフの嘉戸篤さんとのやりとりを中心に構成。取材は3年間に及んだ。彼らはなぜ罪を犯したのか、そして出所後、行き場のなかった者がどのようにして社会に出て行くのかを描く。
また、社会復帰に必要な支援や再犯を防ぐ手立ては何なのかを風の家の模索を通して考える。さらに、熱心に関わり続けても再び罪を繰り返す精神疾患を抱えた出所者の現実をありのままに描くことで、彼らの支援の難しさを伝える。
司法と福祉の狭間で生きるこうした人々を再び犯罪者にさせない為にどうすればよいのか。「風の家」の取材を通して出所者支援の現実を浮き彫りにするとともに課題を探る。